ゲームのタイトルを決める・・・これは、簡単な様で非常に
難しい。ゲーム雑誌の発売ソフトスケジュール表を見ると、
「三百万本RPG(仮)」の様に、いつまで経ってもタイト
ルの横に、仮称を意味する(仮)の表記がついたままの物を
いくつか発見出来る所からも、タイトル一つ決めるにしても
スタッフがいかに苦労しているかが非常に良くわかる。少な
くとも、「となりのポチ」とか「かるたとり」の様な、何も
考えてないタイトルをつけるよりかは遥かにマシだ。
しかし、ここに落とし穴がある。カッコ良さげなタイトル、
インパクトのあるタイトルなどとあれこれ考え過ぎてしまう
と、ゲーム内容以前に、タイトルからいきなり大失敗という
事にもなりかねないのだ。
では、具体的にどんなタイトルが失敗してしまうのか、ここ
にいくつかの例を挙げてみよう。
1.ゲームタイトルにありがちな単語の羅列
これはRPGによく見られる現象だが、ドラゴンクエストシ
リーズやファイナルファンタジーシリーズがヒットした影響
で、「クエスト」「ファンタジー」「ドラゴン」といった単
語を必ず入れるという例だ。確かにカッコ良さげな感じもす
るし、「いかにも」的タイトルになるから一見まともそうに
映るが、こういうタイトルではインパクトに欠けるし、何よ
りユーザーが覚えにくい。ただでさえ日本人にとって横文字
は印象に残りにくいのに、その上ありがちな単語の羅列なの
だから、商品名としてはかなりのマイナスだ。但し、有名な
ゲームのタイトルに似せて、ユーザーを勘違いさせて売ると
いう販売戦略をとるならそれもアリだ。もっとも、下手をす
ると訴訟問題に発展しかねないというデメリットもあるとい
う事も忘れてはならないが。
また、続編のタイトルにありがちだが、「スーパー」「スペ
シャル」「デラックス」などの単語をやたらと入れるのも考
えものだ。やはりよくある表現なのでインパクトに欠けてし
まうし、何より前作と比較して、どの辺がスペシャルになっ
たのかさっぱりわからない様なゲーム内容だとしたら最悪だ
からだ。
2.無意味に長い
前項でも書いた様に、タイトルにはインパクト、そして他と
の差別化が必要である。その差別化を図る方法の一つとして
挙げられるのが、長めのタイトルだ。しかし、だからと言っ
て無闇に長くしてしまうと、ユーザーは覚え切れない。それ
でも、「この世の果てで恋を歌う少女YU−NO」の様なタ
イトルならば、意味が通っているだけにまだ覚えて貰えるだ
ろうが、ただ無意味な単語を並べて長くしただけの様なタイ
トルは、明らかにマイナスだ。「クマのプー太郎 空はピン
クだ!全員集合(それダメっす)」や「魔法少女プリティサ
ミー〜恐るべし身体測定!核爆発5秒前!!〜」といったタ
イトルを一度に覚えられる人は希であろう。
3.読み辛い、或いは読み方がわかり難い
タイトルをわざとひねった表記にして、他との差別化を狙う
という手もある。確かにこれなら注目を集めるだろうし、そ
のゲームの個性をアピールする事も可能であろう。しかし、
だからといってひねり過ぎるのは少々問題であろう。ひねり
過ぎるとかえって覚え辛いし、そもそもまともに読む事すら
困難なタイトルならば逆効果である。「クォヴァディス」な
んて日本人にとっては発音が難しいだろうし、「ストレスレ
スレッスンれすれす」は早口言葉としか思えず、読むとタイ
トルとは裏腹にストレスが溜まりそうだし、ましてや「R?
MJ」や「華蘭虎龍学園〜花札・麻雀〜」の様に、読み方す
らわからないタイトルなどもってのほかだ。ショップで店員
にタイトルを告げる事が出来ないのは勿論、ネット通販を利
用するにしても、五十音順に並んでいるリストのどこから調
べればいいのかもわからない。
4.悪いイメージの言葉を連想させる
実例としては少ないが、こういうタイトルも間違いなく存在
する。要するに、タイトルを考えた側としては、それなりの
意味を持った言葉を選んだつもりが、タイトルの語感から、
全く別の言葉、それも明らかに悪いイメージの言葉を連想さ
せてしまう例だ。例えば、どうしようもなくダメなゲームを
現す「クソゲー」という言葉がある。言うまでもなく、内容
以前にタイトルでこんな言葉を連想させる事は、制作側とし
ては普通したくない筈だ。しかし、「邪神ドラクソス」とい
うタイトルでは、それは避けられない。ある地方では、「と
ても」という意味の「でら」という方言がある。それを踏ま
えれば、タイトルから「でらクソっす」などと言われても仕
方ない。また、「突撃!てけてけ!!トイ・レンジャー」と
いうタイトルも考え物だ。いくら中点が打ってあっても、語
感はやはり「トイレ」で「ジャー」なのだ。これでは、下ネ
タが大嫌いというゲーマーは確実に離れる。もっとも、下ネ
タが大好きな小学生を勘違いさせて売るという事なら話は別
だが。
5.有名人をオモチャにしている
有名人を題材としたゲームを作り、タイトルにも有名人の名
前を冠するという手は、その有名人のファンが確実に手に取
ると思われるので、売り上げアップの為の有効な手段の一つ
と言えるだろう。しかし、だからと言ってタイトルに有名人
の名前さえ入っていれば問題ないかと言うと、必ずしもそう
ではない。「さんまの名探偵」や「デジタルダンスミックス
安室奈美恵」といったタイトルなら良いが、「舛添要一 朝
までファミコン」や「高橋名人のBUGってハニー」といっ
たタイトルは、いかがなものだろうか。恐らくファンは、舛
添さんが徹夜でファミコンやってたり、高橋名人がバグって
しまったりする様なゲームは望んでいないと思うのだが。
6.明らかに変
「美食戦隊薔薇野郎」「超兄貴」「冒険男爵ドン」・・・説
明不要であろう。どう見てもアレなタイトルだ。言うまでも
なく、こんなタイトルでは大抵の人は敬遠する。勿論、制作
側がバカゲーファンという限りなく狭い層をピンポイントで
狙い撃ちしようしているのならば、話は別である。但し、バ
カゲーファンの中には、「新品を定価で買うのではなく、値
崩れした中古を買ってこそ真のバカゲーだ!」と主張してい
る者も、決して少なくないという事も忘れてはなるまい。