ロンリー・ライダー
俺は何故ここにいるのだろうか・・・。

確かこれは四輪レースだった筈だ。なるほど、確かに周
りの出場車は皆四輪ばかりだ。それにしても、どいつも
こいつも個性のないデザインのマシンだな。まあいい、
そんな事より、何故たった一人バイクに乗る俺が出場出
来るのか、今もって謎だ。このレースの主催者は何を考
えているのか。

そもそもこのレースの名前もふざけている。
「ジッピーレース」
直訳すると「元気な競争」・・・。小学生の運動会なの
か?主催者のウケ狙いか?最も、そんなレースにエント
リーする俺も俺だが・・・。ま、考えても仕方ないな。

さて、いよいよレーススタートだ。俺は何番手のスター
トか・・・何っ?90番手!?ふ、ふざけやがって!!
バイクをなめるな!!・・・フッ、まあいい。所詮他の
連中は時速200キロ程度が限界、俺のマシンは最高時
速で210キロまで出せる。90番手スタートか、ちょ
うどいいハンデかもな。

いよいよレースが始まる・・・緊張の一瞬だ。

(3、2、1、0)

よし、スタートだ!一気に加速・・・な、何!?何だこ
の周りの奴らの加速度は!!スタート直後からいきなり
最高速度で飛ばせるのか?くっ、俺はとんでもないレー
スに出場しちまったみたいだぜ。だがしかし、あせる事
はない、すぐ追い付く。

おっと、89番手走行中のマシンが見えてきたぜ。トロ
トロ走ってやがるな。フッ、こんな奴、軽く追い抜いて
やるぜ・・・。

ザッ!

うわ!!な、何て奴だ、こいつ幅寄せしてきやがった。
おかげでコースアウトしちまった。くそ、一度コースア
ウトしたり他のマシンに接触したり川に落ちたりすると
どういうわけかガソリンが減っちまうぜ、このバイク。
おっと、思わず説明口調になっちまったぜ、フッ。気を
取り直して行くぞ。ガソリン以外に異常はないからな。
それにガソリンは、どういうわけかコース上に落ちてい
るからな。後は幅寄せする奴らの動きを見切れば問題無
いな。

しかし、さっきから時速210キロで飛ばしている筈な
のに、どう考えても時速20〜30キロの徐行運転をし
ているようにしか思えない事は、気にしない方がいいの
か?ま、忘れることにするか。

ん?何だあれは?ウィリーゾーン?どういう事だ。明ら
かにバイク用だな。俺一人の為に主催者がわざわざ用意
したのか?四輪レースならそれ用の物の設置するのが普
通だと思うのだが・・・どうやらレース主催者に俺の常
識は通用しない様だ。ま、そういう事ならお望み通り、
ウィリーしてやるぜ・・・。

ザッ!

うわ!!な、何て奴だ。ウィリーの最中で操作不能の所
を狙って幅寄せしてくるとは。こいつら、コースアウト
しようが他のマシンと接触しようが何ともないから、や
りたい放題だな。

チッ、主催者の狙いはこれだったのか。700なんて数
字につられて、まんまと策略にハマった俺がバカだった
ぜ。それにしても、俺がミスするとこれ見よがしに追い
抜いていくマシンどもめ、頭にくるぜ。

ふう、ようやくスタート地点のロサンゼルスからおサラ
バだな。もうすぐラスベガスか。市街に入った様だな。
フッ、ネオンが眩しいぜ。

おっと対抗車だ。市街に入れば対抗車が来るのも当然だ
な。道を開けてやるぜ・・・。

ザッ!

うわ!!な、何て奴だ。対抗車まで幅寄せして来やがっ
たぜ。くそ、こいつまで俺の敵か。どいつもこいつも、
バイクがそんなに嫌いなのか?ま、所詮俺は孤独なライ
ダー、周りにいるのは敵だけだ。孤独に3700マイル
完走してニューヨークを目指すしかねえぜ!!





ついにニューヨークに到着した。1着だ!!やった、俺
はやったんだ!!ラスベガスからの道のりを省略したよ
うに見えるが、気にするな。面倒臭くなった・・・じゃ
なかった、特に書く事がなかっただけだ。思えば公道と
砂漠だけのコースだったな。おかげで少し慣れたら楽勝
だったぜ。それにしても、四輪マシンは川に落ちる事も
無いとは、驚いたぜ。まあそれも過ぎた事だ。忘れると
するか。俺は勝ったんだからな・・・。


























俺は何故ここにいるのだろうか・・・。

前回まで使用した500ccバイクから750ccバイク
に乗り換えて、また出場している。だが、確かこれは四
輪レースだった筈だ。なるほど、確かに周りの出場車は
・・・


ロンリー・ライダー


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