ゲームコレクター
(その4)
帰宅した厚目は、早速貰ったソフトの起動準備をした。
「これで心おきなくプレイに専念出来るぞ!まず最初は
『異生物戦士』から・・・。」
数十分プレイして厚目は驚いた。これまで厚目がプレイ
したどのゲームよりも、この『異生物戦士』は優れた名
作だったのだ。
「こ、これは凄い!こんなゲームがあったなんて!!」
厚目は、時間を忘れてプレイに没頭した。コレクターと
してのゲームライフが定着しつつあった厚目にとって、
こんな事は久しぶりであった。
暫くプレイしてすっかり満足した厚目は次のソフトを手
に取った。
「よ〜し、次は『交戦狂ピュアモルト』だ!噂によると
こればバカゲーって事だけど・・・。」
厚目は少々不安げに起動した。しかしその不安も、プレ
イして数分後には全て消えてしまった。バカゲーと言え
ど、非常に丁寧に作り込まれたゲームだったのだ。
「バカゲーにもこんな名作があったんだ!!全然知らな
かった!!」
厚目は、その後も喪黒から譲り受けたゲームを次々とプ
レイしていった。驚いた事に、どれもこれも素晴らしい
作品ばかりであった。
「これ程の名作を、集める為だけに欲しがっていたなん
て、今まで僕はなんて勿体ない事をしていたんだ!ゲー
マーに復帰出来て本当によかった。これも全て喪黒さん
のおかげだ!!」
厚目のゲームライフは、この上なく充実していた。

数日後、厚目は新作のDCソフトを購入しようと、ゲー
ムショップに向かった。目的のソフトを購入後、厚目は
何気なく中古ソフトコーナーに目を移した。
するとそこには信じられない物があった。ゲーム情報誌
等でも発売されたか否かがわからず、その存在は幻とさ
れていたレアソフト「漫画本地帯」が、何と¥1980
という破格値で売られていたのだ。
「こ、これは!!噂には聞いていたけど、まさか実在し
ていたなんて・・・。」
先日喪黒から譲り受けたソフトの中には、これは含まれ
ていなかった。あのコレクターも、さすがにこのソフト
の存在は確認出来なかった様である。
「うう、欲しい・・・値段も安いし・・・今逃すと多分
二度と手に入らないだろうし・・・でも、このゲームの
内容は全然知らない・・・喪黒さんとの約束が・・・ど
うしよう・・・。」
厚目はこの上なく迷っていた。そして同時に、近くにい
る客がこのソフトの存在に気付く事を恐れていた。
「これを買えば、正真正銘MDソフトをコンプリートす
る事に・・・でも・・・。」
その時、別の客がこのソフトの存在に気付いた。
「ん?これは・・・?」
客がパッケージを手に取ろうとした瞬間、厚目の手が無
意識に伸びた。
「う、うああああああ!」
厚目は思わず声を上げた。そして、驚いた客を後目に、
「漫画本地帯」のパッケージを掴み、無我夢中でレジに
向かって駆け出していた。

(その5へ続く)



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