積みゲーマーの苦悩
(その4)
次の休日、見貝は自宅のゲームをゴッソリ持ち出し、タ
イムルームへと向かった。
「これでどんなに時間のかかるゲームも攻略出来るぞ。
よ〜し、まずは早速今日買ったばかりの『永遠の理想郷』
から・・・。」
見貝は黙々とプレイした。期待の大作RPGをプレイす
るだけあって、その表情は満足気であった。
暫くして見貝は、長時間連続プレイの疲れからか、うつ
らうつらと眠ってしまった。
「はっ!!」
程なくして見貝は目を覚ました。
「またやっちゃった・・・最近ゲームしていると途中で
いつも寝ちゃうんだよ・・・どれだけ寝てたんだ・・・
あれ!?」
見貝は時計を見て驚いた。時計の針はここへ来てから、
まだ1時間程しか経過していなかったのだ。本来なら、
プレイ時間と合わせて5時間は経っている筈であった。
「凄い!まだこんな時間だ!これなら途中で仮眠を取り
ながらでも今日中にクリア出来るかも!」
結局その日見貝は、「永遠の理想郷」をクリアしてしま
った。RPGを一日でクリアしたのは、彼のゲーム人生
で初めての事であった。
「この調子でガンガン行くぞ!次の休日は『死ぬか生き
るか』の全機種比較プレイと、オールコスチュームコン
プに挑戦だ!」
こうして見貝は、休日になるとタイムルームに向かい、
順調に積みソフトを消化していった。やりかけて放置し
たままだったゲームも、次々と攻略していった。新作を
新たに購入しても、その日の内にクリアしてしまう事も
多くなっていた。
「今まで僕は、なんて無駄な事をしていたんだ。ゲーム
をやりもしないで積むなんて・・・。それがみんな解消
した、これも全て喪黒さんのおかげだ!」
見貝のゲームライフは、この上なく充実していた。

数日後、見貝はゲーム情報誌を購入し、新作情報を見て
驚いた。何と、翌週末に見貝が購入を予定しているソフ
トが5タイトルも同時に発売されるという事なのだ。し
かも、その前日は給料日。間違いなく5本共全て発売日
に購入出来る。
「よ〜し、全部購入だ!!」
しかしふと、見貝は喪黒の言葉を思い出した。
「今後一切積みソフトを作らないで欲しいのです。」
見貝は少し迷ったが、
「大丈夫。タイムルームがあれば、一度に何本買おうが
積みソフトなんて増えないさ。」
と、自分に言い聞かせた。
結局見貝は、発売日に5本全て購入し、その次の休日に
早速タイムルームに持ち込んだ。
ところが、今回購入したソフトの内、何と3本がRPG
で、1本がアドベンチャーゲームの大作「朝顔大戦」で
あり、どう見積もっても、全ソフトの攻略までのプレイ
時間は、軽く200時間を越えてしまうのだ。
「困ったなあ。このままじゃ追い付かない。まだ来週末
にも購入予定ソフトがあるし・・・。」
見貝はふと、「朝顔大戦」のパッケージを見て思った。
「『朝顔大戦』か・・・もうSS版クリアしているんだ
よなあ・・・。」
実は見貝は、この「朝顔大戦」のSS版は既にクリア済
であったのだが、今回新たにDC版を購入した。初回出
荷分のみに付属する特製の「グラグラパック」を入手し
たいが為である。しかしゲーム本編自体は、ビジュアル
が多少クオリティアップしている程度で、基本的には、
SS版からの変更が全く無い。その為、これをプレイす
る事は、同じゲームを2度プレイする事と同様なので、
見貝にとっては少々かったるく思えてしまうのだ。
「またクリアするとなると何十時間もかかるし、今は時
間がないし・・・いいや、積んじゃえ!1本くらいなら
問題ないだろ。」
見貝は、「朝顔大戦」を未開封のまま放置し、かわりに
「ナープルテル」を手に取った。

その後も次々と大作が発売され、見貝はことごとく購入
してプレイしていった。しかし、「朝顔大戦」が開封さ
れる事は無く、そのまま一ヶ月が経過した。

(その5へ続く)



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